観劇100本ノックの記録

1年間で100本の観劇を試みています。

【11本目】「恭しき娼婦」@紀伊國屋ホール

チラシを見て、面白そうだったので行ってみることに。1時間半という短い舞台に、どうしようもできない感情が詰まっていて苦しくなった。

 

 

公演概要

実存主義」を牽引し、世界に大きな影響を与えた20世紀最大の哲学者、ジャン=ポール・サルトル。哲学者である一方、彼は劇作家として1946年に本作『恭しき娼婦』を発表。
非情な世界における人間の権利、尊厳、そして、自由 とはー

舞台はアメリカ南部。冤罪を被せられて逃走する黒人青年をかくまう娼婦リズィー。だが、その街の権力者の息子であるフレッドはリズィーに虚偽の証言をさせようと、その黒人青年と由緒ある家系の白人の男どちらを救うか選べと迫る。街全体で黒人が犯人と決めつける状況の中で、リズィーが下した決断は…。

開演前の15分ほどで、サルトル実存主義について超付け焼き刃でリサーチして臨む(無理)。

 

実存主義とは?

「進研ゼミ高校講座」のHPがわかりやすかったので引用⇩⇩

実存主義について|地歴公民|苦手解決Q&A|進研ゼミ高校講座

実存主義とは、19世紀のヨーロッパにおいて誕生した、「生きる道を自分で切り開く、今ここにあるひとりの人間の現実存在(=実存)としての自分のあり方」を求める思想です。


当時のヨーロッパでは、科学技術の進歩と資本主義の発展に伴い、社会が巨大化・組織化されていきました。そのなかで、人々が画一化・平均化していき、管理社会のもとで主体性を失っていると考えたのが、実存主義の哲学者たちでした。
彼らは、「すべての存在・事象は客観的な真理によって説明できる」とするそれまでの合理主義思想を批判して、すべての人間に普遍的にあてはまる本質を追究するのではなく、具体的で現実的な個々の人間のあり方を見つめるべきだとしました。そして、人々が自らの主体性を回復し、真実の自己を見いだすためにはどうすればいいかを考えたのです。


その先駆者とされるのはキルケゴールニーチェです。20世紀には、ヤスパースハイデガーサルトルらが実存主義の思想家としてあらわれました。
実存主義の思想家たちはそれぞれに考え方は違いますが、真実の自己のあり方・生き方を探究した点が共通しています。

なかでもサルトルの主張についてはこう書いてある。

人間は自由に自己を作り上げていける自由な存在だが、その決断は社会全体に責任を負う。自由に伴う責任を自覚して行動するところに真の実存が確立される。

人間が自由であるからこそ持つべき責任があると。

生きる意味などなくて、まず存在がある。そこにどう意味づけをするかは自由。人は自由の刑に処されている。

 

演出・出演者

【作】ジャン=ポール・サルトル
【翻訳】岩切正一郎
【演出】栗山民也

 

– CAST –
奈緒 風間俊介
野坂弘 椎名一浩 小谷俊輔 金子由之

 

感想 ※ネタバレ注意

色々吹っ飛ばして、奈緒さんがめちゃくちゃ上手かった!!!

非の打ち所がないくらい素晴らしい。奈緒さんのおかげで入り込めた作品かも。もっと奈緒さんのお芝居を観てみたくなった。

 

持ち続けたいと強く思っていたはずの「正義」が、人から必要とされたいという欲望に負けてしまう、でもさらにその欲望に抗おうとする。

「自由」の恐ろしさ、「人間の尊厳」について、これだけ短い間に凝縮して描き出せる技量がすごいなと思った。

 

もっと希望のある終わり方を期待していたけど、そうはいかず

 

音楽は、お洒落なジャズがかかっているなと思ったら、実はそれは人の叫び声を表していることが途中でわかった。なにそれ怖い…