【9本目】「パンドラの鐘」@Bunkamuraシアターコクーン
仕事を片付けて、急遽当日券で鑑賞した。
初のシアターコクーン!
2階席の4列目センターでとても見やすかった。2階はお客さんまばら。一階もちらほら空席がある感じだった。
あらすじ
太平洋戦争開戦前夜の長崎。
ピンカートン財団による古代遺跡の発掘作業が行われている。考古学者カナクギ教授の助手オズは、土深く埋もれていた数々の発掘物から、遠く忘れ去られていた古代王国の姿を、鮮やかによみがえらせていく。王の葬儀が行われている古代王国。兄の狂王を幽閉し、妹ヒメ女が王位を継ごうとしているのだ。従者たちは、棺桶と一緒に葬式屋も埋葬してしまおうとするが、ヒメ女はその中の一人ミズヲに魅かれ、命を助ける。
ヒメ女の王国は栄え、各国からの略奪品が運び込まれている。あるとき、ミズヲは異国の都市で掘り出した巨大な鐘を、ヒメ女のもとへ持ち帰るが……。
決して覗いてはならなかった「パンドラの鐘」に記された、王国滅亡の秘密とは? そして、古代の閃光の中に浮かび上がった<未来>の行方とは……?
作・演出・キャスト
■作
野田秀樹
■演出
杉原邦生
■出演
成田 凌 葵 わかな
前田敦子 玉置玲央 大鶴佐助
森田真和 亀島一徳 山口航太 武居 卓
内海正考 王下貴司 久保田 舞 倉本奎哉 米田沙織 涌田 悠
柄本時生 片岡亀蔵 南 果歩 白石加代子
感想 ※ネタバレあり
急遽観に行くことにしたので、ストーリーはざっくりぼんやり…
「長崎」、「ピンカートン」のワードから、→原爆がからむ話?くらいの理解。
せめて、舞台中「現代」と言われているのがどの時代なのかを把握してから見るべきだった。第二次世界大戦前夜だったんだね。
入ってみたら、板や機材がむき出しの舞台セットで、ポスターから想像していた鮮やかさやゴテゴテ感が全くなかったので拍子抜けした気分に。
でも開演早々、高い天井から紅白の幕が降りてきた瞬間におお〜!となりました。
太古と現在(第二次世界大戦前夜)が交錯する物語に途中混乱しつつなんとか見た。
太古も現在も、地下に埋めておくべきだったもの「パンドラの鐘」を掘り起こしてしまった。その鐘の内部には、原爆の作り方が記されている。
(鐘が原爆「リトルボーイ」の形をしていることに、後半でようやく気が付いた)
ミズヲの名前の由来は、原爆が落とされた長崎で聞いた「水を」の声。そこで彼も亡くなって、太古の世界でヒメ女に出会ったんだね。(過去の記憶を語るこのシーンは、オレンジの小さくて強い電球一つで舞台を照らしていて、引き込まれた)
ヒメ女はミズヲに同じ絶望をもう一度味わわせたくないという想いもあって、原爆の作り方が記された鐘とともに自分の身を地中に埋める。
鐘の中からの声が途絶え、ミズヲがヒメ女に、「化けて出てこい」と叫んだのが…涙
化けて出てきたら「やあ!」って挨拶するのかな。
古代の世界では、国を守るため身代わりになった女王がいたけど、現在のこの世界では現れなかったわけだ。原爆が投下される瞬間の演出にどきどきした。
そしてラスト。舞台後方の扉が開く演出には息を飲んだ!
あの扉の向こうは外だったんだ・・・!
この祈りの物語は現代につながっているんだな。
―――賭けをしましょう。あなたの服に触れず、その乳房に触れた日のように、いつか未来が、 この鐘に触れずに、あなたの魂に触れることができるかどうか。滅びる前の日に、この地を救った古代の 心が、ふわふわと立ちのぼる煙のように、いつの日か遠い日にむけて、届いていくのか。
ヒメ女、古代の心は、どちらに賭けます?俺は、届くに賭けますよ。
1945年には届かなかった魂が、これから先届かないことのないようにしなければ。
23年前に初演で、蜷川幸雄と野田秀樹がそれぞれの演出で上演したんだそう!それはすごいな〜!それぞれどんな演出だったのか、かなり気になる。
キャストごとに一言
成田 凌(ミズヲ):初舞台だったそうで、そのことにまず驚いた。むしろ舞台に出ていそうな雰囲気がある気がする…なんとなく。声がよく聞こえたし、自身の過去についてや、姫がいなくなってからの独白には引き込まれた。
葵 わかな(ヒメ女):鈴の音のようなええ声!ビジュアルは「14歳」という設定に無理がないと感じるほどに幼く可愛い。無邪気でありながら、信念や凛とした軸がしっかりと見えて素敵でした。鐘の上での微笑は美しかった。
前田敦子:出演作を生で見るのは初めて。役にぴったり!
玉置玲央:一番台詞が明瞭で聴きとりやすかった!とても安定していて舞台にいるだけで安心感がある。すごい。
大鶴佐助:「僕は歌う~」を見て気になり、今回も唯一の存在感を放っていて良かった!少し前回と似通ったキャラクターだったので、全く違う雰囲気の役も見てみたい。
柄本時生:こちらもまた安定感とユニークな存在感があった。
片岡亀蔵:弟子の成果を横取りするこずるい感じ、お人よしの感じ、狂った王の雰囲気をそれぞれしっかりとまとっていた。
南 果歩:かわいい!誰かに似ているなぁと思いながら観ていたが、結局誰かわからず。(タカラジェンヌさんの誰かかも)前田敦子との親子関係がしっくりきた。
白石加代子 :貫禄がすごい!