【3本目】「エレファント・ソング」@PARCO劇場
平日昼間に観劇。初PARCO劇場!
開演前に外や屋上に行ってみたら、晴れていて気持ちが良かった。うっすら富士山も見えた!
チケットは前日に取ったが、席は真ん中より前、センター付近のものすごく見やすい位置だった。
あらすじ
精神科医のドクター・ジェームス・ローレンスが失踪した。
病院院長のグリーンバーグは、ローレンスが失踪前最後に診た患者マイケルに事情を聞くためにローレンスの診察室を訪れる。
病院の看護師ピーターソンは言う「マイケルは普通とはちょっと違います。見くびらない方がいいですよ。弄ばれますよ」。
マイケルは初めから普通ではなかった。まるで関係のない「象」についての話から始まり、つかみどころのない話でグリーンバーグを翻弄する。しかし、ローレンスが姿を消した事情は知っているらしく、その真実を教える取引を持ちかけてくる。
条件1、ミス・ピーターソンには、この件に一切介入させないこと。
条件2、自分の患者カルテを読まないこと。
条件3、真実を話したご褒美にチョコレートをくれること。
そうして始まったマイケルとの対話。それはマイケルの仕掛けた巧妙なゲームだった。マイケルはローレンスの失踪の真実を知っているのか。度々脱線する象にまつわる話は何を意味するのか。
ゲームには悲しく衝撃的な結末が用意されていた。
なんだかまた難しそうで、寝てしまわないか心配。
でもしっかり集中して見られれば面白そう。
キャスト・スタッフ
作
ニコラス・ビヨン
翻訳
吉原豊司演出
宮田慶子
感想 ※ネタバレ注意
危惧していた通り、自分の体調の問題もあってか、ウトウトしてしまった…
ほとんどが、マイケルとグリーンバーグ2人の会話で進んでいく。
特にマイケルは、登場したら一度もはけずにラストまで舞台上に居続けるのだからすごい集中力…!それでいてつかみどころのない役なので演じるのは大変そうだなと思った。
マイケルが真実を教える条件の一つとして挙げた、「ご褒美にチョコレート」というのがこんな結末を導くとは…初めからそのつもりだったということなのかな?
誰かの一番大切な存在になりたいと思ってローレンスを愛し、でもそのローレンスの一番ではなかったと感じ、人生を諦めてしまったのか…?だとしたらとても辛い。
…と言いながら、ここの大事な台詞を聞き漏らしていたために、結末を見たとき一瞬「??」となってしまった。観客の集中力って大事だよね…と反省。
他にも色々な台詞を聞き漏らしているはず。意識が覚醒している状態で観たかった…!
個人的には、映像を投影してしまう演出はあまり好きではない。抽象的な映像はまだ良いが、具体的な映像は特に好きになれない。
想像力が奪われてしまうのと、映像に気を取られるあまり役者を見ることへの集中力が低下して、観客と役者の距離が離れてしまうように感じるから。
なので今回、マイケルが過去を語る大切な場面で、映像がしっかりと使われていたのはちょっと残念だったな(映像は美しかった!)
繰り返しになるが、万全の体調で観たかった!
【2本目】赤堀雅秋プロデュース「ケダモノ」@本田劇場
5月7日に観劇。
100本見ることが決まってあわてて取ったチケット。当日引換券だったけど、かなり良い席でラッキーだった!
知っているキャストが多いな、というのと、本多劇場に行ってみたいなという気持ちでなんとなく取ってしまったが、すごいものを見てしまった…
ストーリー
神奈川県のはずれ。
駅前の繁華街以外は寂れ、奥には山ばかりが広がる田舎町。
真夏。
リサイクルショップを経営する手島(大森南朋)は、アヤしげな自称・映画プロデューサーのマルセル小林(田中哲司)とつるむ以外、特に楽しいこともなく、日々しけた店を切り盛りしている。
従業員は態度のでかい出口(荒川良々)と、やる気ばかりで空回りの木村(清水優)の二人。
彼らの楽しみは飲みに出て、キャバクラでマイカ(門脇麦)や美由紀(新井郁)ら女の子をからかうことくらいしかない。
ある日、郵便局員の節子(あめくみちこ)から「父が死んだので家を整理し、不用品を引き取って欲しい」という依頼が。
手島たちは節子の家と蔵を物色するが、木村が蔵から意外な「もの」を見つける。
山から時折聞こえる銃声。
増え過ぎた鹿が農家の作物を荒らし、その被害が深刻化しているため、他県からも猟師を募って害獣駆除をしているのだという。
手島とマルセルの抱えた「事情」と木村がみつけた「もの」、そしてマイカの切実な望み。
退屈な日常はふとしたはずみで軋み、歪み、彼らは暴走し始めた。
なんだか物々しいストーリーにビビる。
キャストコメントも読んだ感じ、相当体力のいる観劇になりそうな予感…
キャスト
清水優
新井郁
私でも知っている方が多くて少しホッとする。
ただ、プロデュースの赤堀さんを存じ上げないのでどんな内容なのか想像もつかない。
感想 ※ネタバレ注意
見終わった直後は放心…
いやね、もうなんなんだ…と言いたい。
ラスト付近はずっと苦虫を嚙みつぶしたような顔になっていた自覚があるし、隣の席の方が顔を覆っているのが横目で見えた。
とにかく、人間のどうしようもない部分を見せつけられた感じ。どうしようもなさをこれでもかと表現する俳優ってすごい…
今の世の中で公然と言ったら一発アウトな会話だらけで「うわ~」と思ったけど、実際はこんな会話がそこらじゅうで繰り広げられているんだろうなと思った。
ずっと明るくけらけら笑っていた美由紀が飛び降りてしまって、そのあとは全員転落するのみ。人間は突き詰めれば全員「ケダモノ」になってしまうのか…?
印象的だった場面
・森の中で猟銃を抱え、ガムテープでぐるぐるにした木村を囲んだシーン。照明(車のヘッドライト?)がとても眩しく異様な感じがして、さらに暗転した状態で話が展開するのが新鮮だった。(で、明転したら人が増えていると!)
・フィリピン出身の母との思い出を語るマイカの独白に心が痛んだ。
世界一のごみの山(スモーキーマウンテン)をテレビで見て「懐かしい」と泣いた母。
・時限爆弾(ベル)が鳴り響くシーン。猟銃がいつ誰に向けられるかわからないし、何が何だか。恐ろしくて、早く終わってくれと思った…
エンタメミュージカルにばかり触れてきた私にはとても咀嚼しきれない。
色んな感想を読んでみようと思う。
【1本目】ヒトハダ「僕は歌う、青空とコーラと君のために」@浅草九劇
4月28日に観劇。
「2022年5月からスタートして100本」としているのに、いきなりのフライング…
でも、そうまでして書いておきたいほど強烈に刺さった…!
ヒトハダという劇団の旗揚げ公演。コロナの影響で旗揚げが1年延期になっていたそうで、それもあってか、ほとばしるエネルギーがものすごかった。「エネルギー浴びたぜ~!」という気持ち。
あらすじ
戦後間もない東京近郊にある、米軍御用達のキャバレー「エンド・オブ・ザ・ワールド」。
そこを拠点に、いつか日劇アーニーパイルの舞台に立つことを夢に見る、ロッキー(浅野雅博)、ファッティー(櫻井章喜)、ハッピー(大鶴佐助)の 三人組男性コーラスグループ、「スリー・ハーツ」。
ある日、「エンド・オブ・ザ・ワールド」のママ(梅沢昌代)が連れてきた若い男(尾上寛之)が新たに加入して「スリー・ハーツ」から「フォー・ハーツ」として活動を開始する。
順調にグループ活動を続ける中、朝鮮戦争がはじまり、ハワイの日系二世であるハッピーが朝鮮に出兵することになり四人組の絆を大きくゆるがすことになる―
1950年代アメリカンポップスのヒット曲に乗せて、歌あり、踊りあり、笑いあり、涙ありの劇団「ヒトハダ」第一回公演にご期待ください。
出演者・スタッフ
ピアニスト:佐藤拓馬
脚本・演出:鄭義信
音楽:久米大作
美術:池田ともゆき
照明:増田隆芳
音響:藤田赤目
振付:伊藤多恵
擬闘:栗原直樹
衣裳:冨樫理恵
ヘアメイク:高村マドカ
演出助手:山村涼子
舞台監督:藤本典江、丸山英彦
制作:藤本綾菜
プロデューサー:佐々木弘毅
感想 ※ネタバレあり
ストーリーを一読した程度で観劇。
歌と踊りがあることがわかり、ミュージカル好きとしてはワクワクしながら劇場へ向かった。
浅草九劇という、入ったことのない劇場に少しテンションが上がる!夜公演だったため、外の提灯が光っていてきれいだった。
劇場に入ると、客席とステージの距離の近さに驚いた。今回はキャバレーが舞台だったので、まるで自分もキャバレーの中にいるかのような気持ちになれた。
いざ始まってみると、初めはすごく笑っていたのに、いつの間にやら本気で号泣してしまった…ダンスと歌に合わせて手拍子なんかして楽しんでいたのに…!
登場人物の苦しみがウクライナとロシアの現状とも重なって、とても「過去のこと・演劇の中のこと」とは思えず。旗揚げが一年遅れたことに意味があったのではないかと感じたな。
キャスト別感想 ※超ネタバレあり
お恥ずかしながら、キャストの方は一人も知らず…
演出の鄭義信さんは「かろうじて名前を聞いたことがある」程度だった。
大鶴佐助(ハッピー)
ハッピーは日系アメリカ人。日本人からパールハーバーを爆撃され、さらにアメリカからは「敵」とみなされたという過去を持つ。認められるためにアメリカ軍に入った。
愉快でキュートなのに、ふと、寂しげで思いつめたような冷たい表情をするのが印象的で、目が離せなくなった。
なんでも、唐十郎の息子さんだとか!観劇中はそれを知らなかったが、不思議なカリスマ性や魅力を感じた。覚えました!
浅野雅博(ロッキー)
途中まで過去が語られない。在日韓国人であること、日本軍で特攻隊員であったことが徐々にわかってくる。
ずっと飄々とした感じなのに、過去を吐露する場面の重苦しさといったら…「特攻は行っても地獄、帰っても地獄」。「特攻になれば差別されることもなくなる」と伝えてしまったことで、大切な人を失った。
尾上寛之(ゴールド)
日本語しゃべれるんかーい!というところから始まる。
ハッピーが朝鮮戦争に行くことになったとき、「朝鮮人をころしに行く」ハッピーに怒りを向けていたゴールド。でも本当に根底にあったのは、「ただハッピーに人を殺してほしくない、殺されてほしくない」という気持ち。一人の人間を大切に思う気持ちなんだとわかったとき、なぜ国という存在に翻弄されないといけないんだろうと、考えずにはいられなかった。
櫻井章喜(ファッティ―)
ずっと明るくいてくれたありがたい存在。ゲイであるために、きっと色々な差別を受けてきたのであろうに、劇中では一切語られない。唯一の日本人として、ほかの4人の話をしっかり受け止める役割を担っていて、観客に近い存在だった感じがした。
梅沢昌代(ママ)
なんて素敵な声なんだろうというのが第一印象。心地よい低音。
こちらも在日韓国人で、息子は志願兵として特攻に参加し戦死。彼女がたくさんの辛さを乗り越え、「息子は虹の向こうにいると思っている」と語った時に、もうボロボロに泣いてしまった。(前の人もぽたぽた泣いていた)
ただただ、申し訳ないという気持ちになった。
キャストをはじめ、この作品に関わった皆さんが、演劇を続け、この作品を見せてくれたことに感謝…!
次のヒトハダの公演も楽しみ。
これから1年間で100本観劇します
これから1年間で、100本の演劇を見ることが使命となった。
そうしなければ私は仕事を一つ失ってしまう。
詳細は省くが突如そういうことになった。
1年間で100本と言ったら、一ヵ月に9本近く観劇するということになる。
一週間に2本以上。
普通の会社員で週休二日の自分にはなかなか大変な課題だ。休日出勤も結構あるし。
一人で粛々と見続けていては早々に諦めてしまう気がするので、
記録を公開して見守ってもらうことにしてみた。
私の演劇知識は「(うまくすれば)中」くらいではないかと思っている。
なので、演劇好きの間では常識であることを知らずに無知をさらすこともあるかもしれない。
そういう時にはぜひこっそり教えていただきたいし、
おすすめの舞台なども教えていただけたらとても嬉しいです。
公開してしまったからには後には引けない。
1年後の自分がどうなっているかわからないが、頑張りたい。
どうぞよろしくお願いいたします。