【19本目】音楽劇『スラムドッグ$ミリオネア』@シアタークリエ
やはりこのタイトルを見ると、アカデミー賞を獲得した映画の方を思い出す。
公開当時、スラムの子どもたちを子役として採用したことが話題になっていたのを覚えている。
原作を読んだこともあるくらい、一時期ハマっていた作品なので、舞台化と知り驚いた!
しかしなぜ今なんだ?!
…というのはさて置き、感想行きます!
ストーリー
スラム街出身の青年・ラム(屋良朝幸)は、人気クイズ番組《億万長者は誰だ!》に出演し、司会者である国民的人気タレントのプレム・クマール(川平慈英)や番組スタッフ、オーディエンスの予想を裏切り、12問にも及ぶ難問を次々とクリアしていく。が、「教養があるはずの無い彼がなぜ答えを知っていたのか?インチキをしていたに違いない」と、番組の制作会社の陰謀でラムは詐欺の疑いで逮捕されてしまう。
警察の拷問でラムは自白を強要されるが、突如現れた弁護士スミタ・シャー(大塚千弘)に救われ釈放される。スミタはラムに、これまでの人生すべてについて語るよう促し、昨夜オンエアされた番組のDVDを再生する―。
捨て子として教会で神父に育てられ、育ての親の神父が殺されたこと。孤児施設に入り、映画スターを目指す親友のサリム(村井良大)と出会ったこと。怪しげな占い師から幸運の1ルピー硬貨を渡されたこと。通っていた職業訓練校で子供たちへの虐待を目撃し、施設を抜け出したこと。父親の暴力に怯える隣人の少女を助けようとし、その父親を殺害し逃亡したこと。娼婦のニータ(唯月ふうか)と出会い、燃えるような恋に落ちたこと。
次々とラムから明かされる彼の過酷な運命にスミタ・シャーは驚きを隠せずにいた。 そして、ラムは、なぜ人気クイズ番組《億万長者は誰だ!》に出演しようと決意したのか、なぜ難問を次々とクリア出来たのか、驚くべき真実を語り始めた…。
演出・キャスト
原作
ヴィカス・スワラップ著「Q&A」
上演台本・演出
瀬戸山美咲
出演
屋良朝幸、村井良大、唯月ふうか、大塚千弘、川平慈英
池田有希子、辰巳智秋、吉村直、野坂弘、阿岐之将一、當真一嘉、中西南央
感想 ※ネタバレ注意
原作の下地を用いながらオリジナルのストーリーに仕上げた映画と比べて、かなり原作に忠実な内容だった。(舞台を観てから映画を見直したので記憶は確かなはず!)
かなりうまくまとまっていて見ごたえがあり、想像を超える満足度だった!
パルクールを使った演出も良かった。役者さんたちの運動神経の良さと体力にも関心しきり。
音楽は正直微妙だったかな…私は一度では記憶に残らなかった。
でも、一緒に行った舞台好きの友人もとても楽しんでいた!
キャスト
主演の屋良さんは、初めて見る役者さん。
役作りがとても上手だと思った。実年齢は倍以上でありながら、10歳〜18歳の演技が自然に見えたのが本当にすごい。
純粋無垢な少年時代から、好きな子の前では舞い上がっちゃう青年時代、強い意志を持ってクイズ番組に出演した現在。どれも無理なく見られた。
歌と踊りがミュージカル俳優と違うのはすぐにわかった。ジャニーズ感が出ていた。
村井さんの演じる、二人の親友・サリムとシャンカールも良かった。
こちらも少年役がはまる!特にサリム訳が可愛かったな。
シャンカールは、独特な言葉を話すので難しかったんじゃないか。
占い師やシャンカールの母を演じていた、池田有希子さんも良かったなぁ。
演技ももちろん良かったし、最後に全員で歌うシーンでの表情の変化に魅せられて、一緒に楽しい気持ちになった。好きです!!
そして川平さん、うまい!!!
人気司会者としての説得力はもちろん、憎々しげな雰囲気づくりも、過去や現在に対する苦しみの表現も、歌も素晴らしかった。
舞台を引き締めていて、もっと登場シーンを見たかった。かっこいいなあ
映画との違い
映画との違いは数あれど、一番印象的だったのは、クイズ番組の司会者&テレビ局の描かれ方。
映画では最後、クイズに正解した主人公を祝福するが、舞台(と原作)ではそれがない。
むしろテレビ局は、正解されたら破綻してしまうわけだから、なんとしてでも邪魔しようとする。司会者もテレビ局からの圧力で、主人公の躍進を阻止しようと躍起になる。
さらに、実は司会者も、主人公と同じくスラム出身だったということが判明する展開・・・!
個人的には、生きるのに必死な司会者、賞金を取らせまいとするテレビ局の思惑が好きだ。今回の舞台でもそこが効いていたように感じた。
どちらにせよ、こうやって過酷な環境で生きざるを得ない人がいる。
しかもコロナがあって、ますます苦しい状況に置かれているようだ。
主人公のように一攫千金できる人は無に等しい状況だろう。
(⇩こちらのブログ参照)