【14本目】JACROW「鶏口牛後」@座・高円寺
黒い背景に浮かぶ鶏が印象的なチラシと、聞き覚えのある故事成語に魅かれて観劇を決めた。
これは座・高円寺の「日本劇作家協会プログラム」の公演だそう。
そもそもこのプログラムは・・・
「日本劇作家協会プログラム」とは杉並区とパートナーシップ協定を結ぶ日本劇作家協会が、会員の応募作の中から推薦し、座・高円寺の年間ラインアップとして上演される作品です。
ということなので、期待が高まった。
公演概要
あるとき鶏がささやいた。
そのままでいいのか。
お前はコントロールする側じゃないか。
支配する喜びを知れ。
だがなにも実現できなかった。またあるとき牛がいなないた。
そのままでいいじゃないか。
大きいからこそできることがある。
実現できる喜びを知れ。
だがコントロール不能だった。中国は言う。
鶏口(けいこう)なるも牛後(ぎゅうご)となるなかれ。
日本はどうだ?
“起業”をテーマにパラレルワールドに描く2つの物語。
2020年5月公演予定だった作品を2年越しに。
はたらくすべてのひとたちへ。
演出・キャスト
脚本・演出:中村ノブアキ
キャスト:
川田希
芦原健介
狩野和馬
小平伸一郎
佐藤貴也
福田真夕
宮越麻里杏
谷仲恵輔
(以上JACROW)菅野貴夫
日下部そう
當銀祥恵(青年座)
松本寛子
感想 ※ネタバレ注意
客席に入ると、アンケ―トや公演概要と一緒に気になる冊子が。
舞台に出てくる架空のアパレル会社の、架空の企画書だった。こういうものがあるとちょっとテンションがあがる。
さらに、脚本・演出の中村さんから今作の脚本の構造についての説明もあって、これにはびっくり!ネタバレじゃん!と思いながらありがたく熟読。
何が書いてあったかというと、今回の舞台はある時点まで行ったら分岐する。パラレルワールドが描かれるよ。ということ。
観てみたら、主人公が伯母さんにタロット占いをしてもらい、その結果によって分岐していた。
務めている大企業のアパレル会社を辞めて独立するか、それとも大企業に残り続けるか。つまり「鶏口」となるか、「牛後」となるかを占ってもらったのだ。
先に描かれたのは「牛後」となった世界線、後半は「鶏口」となった世界線で物語が進む。
大企業に残り続けた方(牛後)が不幸になるんだろうな、と勝手に思っていたが、そんなことはなく。
どちらも途中で不穏な空気が漂いつつも、最終的には希望の光が見えて終わるというのが良かった。自分で未来を切り開いていっている感じがした。
「会社に勤めるというのは夫婦みたいなもの。わずらわしいこともあるけど、一人ではできないことができる」
というようなセリフが数回出てくるのだが、「その通りだよな」と思いながら観た。
会社に勤めている人間として、自分にどんな道があるのかを考えずにはいられない内容だった。
(ただ、独立する勇気はまったくないので、どこかしらの組織には属して生きるんだろうな~と思う)